若い世代の結びつきが細っている

(日経「春秋」2013/8/13付) 「長期的にみた日米間の最大のリスクは安全保障でも経済でもなく、若い世代の結びつきが細っていることにある」。アメリカのルース駐日大使が先週、離任を前にそう語ったそうだ。慧眼(けいがん)と強い危機感とを感じる。大使の言葉は裏返せば「未来を担う世代が理解しあえていれば、これから起こる難題は解決しうる」ということである。それはもちろん、日米間に限った話ではない。オランダ・アムステルダム中心部の広場で韓国の高校生が伝統芸能を披露する場面に出会った、高校生が掲げていた「独島(竹島)は韓国の領土」と書かれた英語の横断幕が気になった。サッカー日韓戦をソウルで観戦した若手社会学者の古市憲寿さんが、会場を「それほど政治的なものだとは思えなかった」と本紙に書いていた。その通りだろうが、アムステルダムの広場と同じリスクの芽がそこにも顔を出していなかったか。芽をつむには、日本を知りたい、韓国を知りたいという若者を増やすしかない。
(JN) 若者よ金はなくとも心をプアにするな。自分を認めてもらいたければ、他人を認めよう。祖国を愛するなら、世界を愛せよ。悲しい歴史を繰り返すような、愚かな発想から脱皮しよう。やっとここまで築き上げてきた自由を手放すな。若者だからこそ古いことで反目せず、他国との相互理解ができるはずであり、すべきである。今、若い者もやがて歳を重ねて、社会の中核となる。そのとき、若いときの相互の理解がそれぞれの世界の発展となる。そのためには、年寄りがまず考えねばならない。過去の事実を認め合うことは辛いであろうが、そこから前を向いていきたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58437790T10C13A8MM8000/